乳がんや卵巣がんは遺伝する?家族性大腸腺腫症・リンチ症候群って?

遺伝性のガンといえば、アメリカのハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝性の乳がん、卵巣がんを公表し、両乳房と卵巣を予防的切除しました。実はこの遺伝子のがんは他にもあります。今回は遺伝性のがんについて紹介します。

 

遺伝性のがんとは?どんながんが遺伝するの?

がん全体でいうと日本全国で新たに1年間にがんと診断される患者さんの数は約98万人(2015年)と言われています。

そのうちの5%が遺伝性のがんです(約5万人)。どのような遺伝性のがんがあるのかというと、

  • 遺伝性乳がん
  • 卵巣がん症候群

 

 

これらが乳がん、卵巣がんの5〜10%の割合です。

  • 大腸ガン(家族性大腸腺腫症、リンチ症候群)

 

これは約5%。他には、

  • 多発性内分泌腫瘍症
  • 脳腫瘍(フォン・ヒッペル・リンドウ病)
  • 皮膚ガン(遺伝性黒色腫)
  • 目のがん(網膜芽細胞腫)

 

などがあって、ほぼ全ての臓器においてなんらかの遺伝性のがんがあると言われています。

現在遺伝子の解析がどんどん進んでいて、これからも原因遺伝子が見つかってくると、遺伝性のがんの割合が増えてくると考えられています。

 

この遺伝性のがんは約100年前に家系の中にたくさんがんの患者がいるという報告があって、なんらかの遺伝があるのではないかと言われていました。

それがはっきり遺伝性のがんとわかったのはここ20〜30年です。

 

ここ20〜30年の遺伝子の解析の進歩によって、この遺伝性の原因ががん抑制遺伝子の異常によるものだとはっきりわかりました。

通常お父さん型とお母さん型を1つずつ遺伝子を引き継ぎ、がん抑制遺伝子は細胞ががんになるのをブレーキをかけるの役割をします。

 

ですが遺伝性のがんの方の場合はがん抑制遺伝子の1つにすでに変異が入っています。

それから他の環境要因、紫外線や食べ物、喫煙などによってもう1つのがん抑制遺伝子に変異が起こります。すると、がん抑制遺伝子の機能がなくなってがんになってしまうんです。

 

遺伝性のがんがあるからといって絶対にがんになる訳ではありません(種類によります)。

遺伝性乳がん、卵巣がん症候群の場合は60〜85%が発症し、大腸ガン(家族性大腸腺腫症)はほぼ100%発症、大腸ガン(リンチ症候群)は男性が54〜74%発症、女性が30〜52%発症。

両親のどちらかが遺伝性のがんの場合、子供に遺伝する割合は2分の1です。子供が二人いる場合はどちらとも遺伝することもありますし、どちらともに遺伝しない可能性もあります。

 

 

家族性大腸腺腫症

遺伝性大腸ガンの中で家族性大腸腺腫症というのがあり、遺伝性のがんのモデルケースにもなった疾患です。これは20〜50代で発症し、放置するとほぼ100%で大腸ガンを発症します。

100個以上のホリープがあって(多い場合は1千〜1万個)、大腸以外に胃や十二指腸にもホリープができることもあります。

 

この病気は放っておくと100%大腸ガンになってしまうので、わかった時点で大腸を全て切除します。

そして、その家族も予防しなければいけないので、10後半から大腸内視鏡検査をします。ホリープができてきたら大腸を予防的に全て切除しなければいけません。

 

大腸を全摘してしまうと便の回数が増えてしまったり、女性の場合は妊娠、出産に支障を来たしてしまうことがあります。

なので現在は大腸を全て切除するのではなく、ホリープを徹底的に取るような臨床試験が行われています。

 

 

リンチ症候群

家族性大腸腺腫症と比べて10倍の頻度があります。50歳未満で発症し、同時期または異なる時期に2個以上のがんを発症します。

他の臓器、子宮、卵巣、胃、腎盂、尿管、小腸、脳、すい臓などにがんを発症することもあります。

 

治療法は手術できる場合は他の大腸ガンと同様に手術を行い、手術ができない場合は抗がん剤を使用した治療を行います。家族の予防は20〜30代から定期的に精密検査を受けてください。

家系内に、

  • 若年でもがんになった人がいる
  • 何回もがんになった人がいる
  • 同じがんになった人が多くいる

 

場合は要注意しましょう。遺伝性のがんが心配になったら遺伝カウンセリング外来や家族性腫瘍外来などの専門外来で相談し、最終的に遺伝子検査(血液検査)を受けて調べます。

これらを受診したい場合は「日本HBOCコンソーシアム」のホームページで検索することができるので心配な方は見てみてください。

 

インターネットを使用できない人はどこの病院でも相談することができるので、そこで専門の窓口を紹介してもらいましょう。

がんになる前に診断、早期発見することで大きな手術を避けることができます。少し心配な方は専門医に相談してみましょう。

Posted by dobutu