がんが世界一多いのは日本?3次喫煙でがんに?
男性は、胃がんにかかりやすく、肺がんで亡くなる傾向が高くなっています。
女性は、乳がんにかかりやすく、大腸がんで亡くなる傾向が高くなっています。がんと闘う医療は日々進歩しているということです。
日本は世界一のがん大国
日本は世界一のがん大国と言われています。なぜ日本人にこんなにがんになる人が多いかというと世界一の長寿国だからです。50代を過ぎると急激にがんになるリスクが高まります。
なぜかというとがんの主な原因は細胞の老化だからです。なので年をとればとるほどがんになるリスクが高まります。
人の体は約60兆個の細胞でできています(細胞の大きさは0.006~0.0025mm)。
細胞は絶えず分裂を繰り返して人間の機能を維持しています。毎日1~2%の細胞が死んで、その分は細胞分裂で補給しています。
その分裂するときにたまにミスをしてしまい、がん細胞を分裂させて増えていってしまいます。1日に健康な人でも5000個のがん細胞ができていると言われています。
そのほとんどは免疫細胞(リンパ球)によって撃退されます。免疫細胞が撃退してくれているのになぜがんになってしまうんでしょうか。
免疫は有害なものを殺すのではなく、自分でないものを殺します。がん細胞は元々は自分の細胞なので異物と認識できず見逃すことがあります。
その隙にがん細胞が増殖してしまいます。がん細胞の最大の特徴は死なないというところです。通常の細胞は50回ほどの分裂で寿命を迎えます。
しかし、がん細胞は死なないため無限に分裂を繰り返し増殖し続けます。実際に60年前に、子宮頸がんで亡くなった女性のがん細胞は今も生き続けています。
細胞が分裂するには栄養が必要なので、がん細胞は栄養を吸い取り続けてしまいます。がんで命を失う主な原因は、栄養失調や慢性的な炎症による体力の消耗です。
がんの症状と進行
がんは症状がでない病気です。なのでがんの早期発見はがん検診で見つかります。
診断できるがんの大きさは1~2センチです。細胞分裂を約30回繰り返すと1センチ程度になります。
1センチになるまで10~20年かかると言われています。1センチ→2センチになるには約2年でなってしまいます。がんは大きくなるほど進行が早まるため早期発見、早期治療が大切です。
がんで死なないためには、がんを防ぐ生活習慣と早期発見が重要になってきます。がんは早期発見すれば9割は治るので、見つかるのが怖いと思わずに定期的に検診しましょう。
がんの原因
がんの原因は大きく3つに分けられます。飲酒、食事、肥満、運動不足が38%、タバコが30%、その他(ウイルス感染など)が32%です。7割が生活習慣が原因となっています。
がんの発症率は6:4で男性が多くなっていて、男性の方が喫煙率が高いので、タバコが原因のがんが30%にもなってしまっています。
タバコは吸っている本人よりも周りで煙(副流煙)を吸わされている人の方ががんになるリスクが高まります。
副流煙には約60種類の発がん性物質が含まれていて、1箱分の副流煙を吸うだけでがんになるリスクが2倍も高くなります。
3次喫煙でがんに?
最近では3次喫煙も問題になっています。3次喫煙とは、タバコの煙が消えた後にイスや机、壁などの表面に残る発がん性物質を吸い込むことです。
例えば、両親が喫煙者の場合、子供の部屋で吸っていなくても壁や床、机、ほこりなどにはたくさんのタバコの有害物質がくっついていて吸い込んでしまいます。
そうすると短期的、長期的に子供の健康に害を及ぼします。
アメリカでは、3次喫煙の最大の被害者は子供と言われていて、子供の呼吸速度が速いのが理由となっています。
呼吸速度(1分間の平均)
- 大人20回
- 子供(1~3歳)約20~40回
- 乳児(0~1歳)約20~60回
子供は呼吸が早いためより多くの有害物質を吸い込んでしまう可能性が高くなっています。特に乳児は床やカーペットに接することが多いので3次喫煙のリスクが高まります。
他に、喫煙者と暮らす子供はそうでない子供より、学校の欠席率が4割高いというデータもあります。
朝起きて30分以内にタバコを吸う人は、肺がんのリスクが1.8倍高くなります。
タバコを吸わない人と比較した喫煙者のがんによる死亡リスク(男性)
- 喉頭がん(32.5倍)
- 口腔がん(2.9倍)
- 肺がん(4.5倍)
- 食道がん(2.2倍)
- 肝臓がん(1.5倍)
- 胃がん(1.5倍)
- 膀胱がん(1.6倍)
- すい臓がん(1.6倍)
これを見てもらうとわかると思いますが、喫煙はほとんどのがんのリスクを高めます。
禁煙方法
自分の意志だけでは禁煙するのは難しいです。禁煙外来で医師の指導のもと薬を服用するだけで楽にやめられます。私も禁煙外来に行き禁煙に成功しました。
処方される薬は飲み薬で、タバコが吸いたくならないようにする薬です。手元は寂しくなりますが、吸いたい気持ちはほとんどでなくてやめやすくなっています。
多少お金はかかりますが、大した額ではないので本気でやめようと思っている方は禁煙外来をお勧めします。